M036:L9・L10個室における欄間オープン空間での自然音マスキング
実施時期 | 2020年12月1日~2021年6月30日 |
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ステータス | 完了(撤去済) |
カテゴリ | 効率 |
場所・空間 | point 0 marunouchi |
背景・課題
テレワーク制度の浸透に伴い、オンライン会議の需要が高まる中、音漏れへの懸念や周囲の騒音による集中力欠如といった、音環境における問題が顕在化している。その対策として、ワークスペース内に完全個室空間を設置することで問題を解消できるケースもあるが、消防法を始めとした法令順守義務が生じ、コスト面でデメリットが生じる。一般的に低コストで施工できる上部に開口を設けた半個室空間における、マスキング効果について検証する。
概要
「point 0 marunouchi」内にあるL9/L10個室(上部に開口がある空間)で、マスキング音として流す音源コンテンツや音量の変更、使用するスピーカー等の組み替えによって、マスキングの有効性や、執務空間の快適性に与える影響を検証する。利用者を対象にアンケートを実施し、欄間オープン空間におけるマスキングシステムとして、最適な音漏れ改善策を検証する。
検証結果
今回の検証では、被験者を募り1回あたり60分程度の実証実験を実施。同じ音量下(空間での音圧が等しい環境下)で、複数種類のスピーカーで実験をしたところ、天井埋込型スピーカーと比較し、パネル型スピーカーや机下スピーカーの方が、より快適に仕事が出来るというアンケート結果が得られた。これは、スピーカーから直接音が聞こえる環境下よりも、空間内で回り込んで耳にする間接音のほうが、快適性には起因するという結果である。
なお、実証実験番号40では、パーテーションでクローズされたPhoneBoothでの実験結果も含めた総括を報告する。
<ソリューションの紹介サイト:TOA> https://go.toa-global.com/office_market/solutions
今後の展開
類似した実証実験である(PhoneBoothなどによる自然音マスキング:実証実験番号40)の結果とも合わせて、マスキングは有用であると言える。一方で、アンケート結果からは、音源の好み、適切と感じる音量など、“音”に対する価値に個人差が大きく表れることも判明した。これについては他の実証実験においても同様の傾向が見られる。今後は、利用者のよりパーソナルな価値にも対応できる事業の実現を目指す。
Project Member プロジェクトメンバー
- TOA株式会社エンジニアリング部 システムデザイン課 課長埜中 靖夫
TOA入社後、国内外の空港・鉄道や商業施設等のプロジェクト案件を担当。 海外販社への出向経験も活かし、現在は技術的な観点から国内外のビジネス戦略・企画を描くとともに、社内外の協創推進に従事。
- TOA株式会社エンジニアリング部 システムデザイン課 東京グループ前田 耕造
九州芸術工科大学卒。TOA入社後、グループ会社の(株)ジーベックに出向。AV制御システムのシステムエンジニア、公共空間や製品音の音デザインの領域で活動。現在は音コンテンツに関する新規事業開拓等に従事。
- TOA株式会社エンジニアリング部 システムデザイン課 東京グループ グループリーダー喜村 康弘
組込みソフトウェア技術者としてTOAに入社後、北米向け鉄道車両放送システム開発をソフトウェアプロジェクトリーダーとして従事。 2021年4月より現職。point 0では音に関連するPoCの技術面を担当。
- TOA株式会社ソリューション営業本部 営業戦略部 副部長空山 雅一
入社後、国内の商業施設や金融機関等の音響・BGMコンサルティング営業を担当。海外出向も経験し、中国・東アジア事業部長などを歴任。現在は国内外問わず、空間内の音コンサルティングを軸に活動。
- TOA株式会社ネクストビジネス推進室 室長稲畑 伸一郎
大学で音響工学を学び、1999年 TOAに入社。入社後は代理店営業、OEM営業、企業間コラボレーションの特命担当等に従事。ソリューション系および首都圏エリアの営業部長を経て2021年4月に新規事業創出を担うネクストビジネス推進室を立ち上げ、室長に就任。2021年6月から株式会社point0の取締役も兼務。
- TOA株式会社ネクストビジネス推進室竹本 悠平
2013年 TOA株式会社入社。関西エリアで鉄道事業者・通信事業者との共創での、“街の安全を守るIoTを活用した防犯カメラシステム”の納入に従事。2020年より東京へ異動、新規事業推進担当としてpoint0 での活動を通じて事業化へ向けて活動。