M106:サステナブルなデスクトップパネルによる座席面積効率化および環境訴求価値検証
| 実施時期 | 2025年2月22日~2025年2月28日 |
|---|---|
| ステータス | 完了(常設化) |
| カテゴリ | 効率,創造 |
| 場所・空間 | point 0 marunouchi |
背景・課題
ABW(※1)の普及により、オフィス空間内に共有ラウンジをはじめとした多様な席環境を提供することが求められるようになった。一方、レイアウト効率も重視されるなど、オフィスづくりにおいて新たな与件がうまれている。特にオープンスペースは開放感がある反面、長時間誰も利用しないいわゆる「死に席」が生じやすいため、効率的なレイアウトとどの席においても快適に過ごせることの両立が課題といえる。
本課題に対し、「ドライファイバーテクノロジー」(※2)を利用しオカムラとエプソンで共同開発した古紙再生による吸音性の高いパネルを含む数種類のパネルを用い、スペース効率化とサステナブルパネルへの意識に関する調査を丹青社とエプソンの合同で実施した。
(※1)ABW:アクティビティ・ベースド・ワーキング。従業員が自分の気分や業務内容に合わせて、働く場所や環境を選択できる働き方。
(※2)ドライファイバーテクノロジー:大量の水を使わずに新たな紙を生み出すことができるエプソン独自の技術。
概要
<検証概要>
(1)パネルによるスペース効率化の効果(着席前と着席後)
方法:被験者の座席の左右に実験協力者が着席している状況を設定。左右の席間隔を変化させ、実験協力者の着席前/着席後で許容できる広さを調査した。パネルの有無でその間隔に変化があるかどうかを検証した。また、最後に被験者自身が「余裕があると感じる間隔」と「限界と感じる間隔」を実際に設定し、計測を行った。

(2)環境訴求価値の検証
方法:ウェルビーイングを訴求するシェアオフィスにおいて使用されるプロダクトについて、環境的な価値の訴求がどこまで受容されるか、素材の異なるパネルを比較し、アンケートにより評価した。

検証結果
①パネルによるスペース効率化の効果(着席前)
【パネルなし】座ってもいいと思う間隔は1200mmまで。1000mmでは座りたくない。
【パネルあり】座ってもいいと思う間隔は1000mmまで。800mmでは座りたくない。
→通常時(パネルなし)は1200mmの間隔がないと「着席したくない」と思うが、パネルが設置されていれば1000mmの間隔まで「着席してもよい」と考える。
(着席快適度スコア:「着席してもよい」から「着席したくない」までを+2,+1,0,-1,-2点の5段階評価した際の累積値)

結果①パネルによるスペース効率化の効果(着席後)
【パネルなし】1200mmの間隔までは座っても左右が気にならない。1000mmになると左右が気になる。
【パネルあり】1000mmの間隔までは座っても左右が気にならない。800mmになると左右が気になる。
→通常時(パネルなし)は1200mmの間隔がないと狭いと感じるが、パネルがあれば1000mmでも左右が気にならない。

●パネルの有無による効果(パーソナルスペース)
パネルによって限界(許容範囲)も広がるが、パネルの設置により「余裕」と感じる広さの範囲も大きくなる。
座って余裕を感じる間隔ではパネルの有無により127mmの差があり、パネルの設置により1000mmでも「余裕」と感じられる。
全体として着席前より、着席時(着席後)の変化が大きい。

●結果②環境訴求価値の検証
【使いたい・導入したいと思ったパネル】
79%が①古紙再生(ドライファイバーテクノロジー)デスクトップパネルを選択。ただしサステナブルな価値があっても段ボールは選ばれない。
【使いたい・導入したいと思ったパネルを選んだ理由】
デザインや素材・風合いを好むという選択がいずれも50%超。
アップサイクル(環境配慮)を理由とした選定は31.7%で、サステナブルという要素だけでは選定理由としては不十分。

【購入したい環境配慮パネルの価格】
6,000円~12,000円が妥当と感じている

今後の展開
パネルによるスペース効率向上の結果をもとに、ラウンジやワークプレイスの企画・設計に活用していく。また、視覚的に狭さを感じさせないデザインや素材選定が今後重要になる。今回の結果からも環境価値のみの受容は限定されており、デザインや素材・風合い等の商品自体の改善を検討していく。
Project Member プロジェクトメンバー
- 株式会社丹青社マーケティング・サステナビリティセンター マーケティング部 データ・イノベーション課塙 駿平
丹青社入社後、オフィスやホテル、医療施設などの様々な空間づくりに営業・プロジェクトマネジメントとして携わる。2021年2月よりマーケティングおよび企画部門に異動し、他社との共創/オープンイノベーションとデジタルマーケティングの活動に従事。
- 株式会社丹青社マーケティング・サステナビリティセンター マーケティング部 データ・イノベーション課前川 博輝
2022年株式会社丹青社に中途入社。 前職でのマーケット分析・営業戦略の立案経験を活かし、 現在はデジタルマーケティング活動および他社との共創プロジェクトを推進。
- 株式会社オカムラ開発創造本部 フューチャービジネス企画部長谷川 修
1988年現オカムラ入社後オフィスデザイン部門を経て、シンガポール駐在、プロダクトとサービスの融合を目指すマーケティング部門を経て、2024年から新規事業企画部門に所属。 2022年株式会社point0取締役就任。「はたらくを再定義する」というビジョンのもとWell-Beingな働き方及び働く場づくりを推進。
- セイコーエプソン株式会社技術開発本部 技術開発戦略推進部矢野 亜耶
入社後、製造業向けのWebシステム開発・運用に従事。その後、社内におけるマーケティングツールの導入・活用や、データ分析の推進を担当。 2024年度より、point 0 に参画しながら、新しい事業の企画・検討を進めている。
- セイコーエプソン株式会社技術開発本部 技術開発戦略推進部黒田 真朗
1998年セイコーエプソン株式会社入社。ダイブコンピュータ、脈拍計測活動量計といったウォッチ応用商品の開発を13年担当。新規事業プロジェクト、ウエアラブル機器開発を経て、現在は新規事業創出のため共創活動に従事。
