M074:音によるにおいマスキングに関する実証実験
実施時期 | 2022年4月19日~2022年5月12日 |
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ステータス | 完了(撤去済) |
場所・空間 | point 0 marunouchi |
背景・課題
喫煙環境の改善・分煙コンサルティングを考える際に、においへの対策は1つの重要な課題である。一般的ににおいを低減する際は、別のにおいによるマスキングや消臭などが利用されるが、新たな視点として、音によるアプローチを着想した。今回は、実際の喫煙所を用いた検証を行う前段階として「音の有無により、においに対する主観評価が変化するのか」を調べる実験を実施し、音によるにおいのマスキング可能性について検討した。
概要
point 0 marunouchi低酸素ルーム前の廊下ににおい布を設置し、天井に備え付けのスピーカーから音楽を流した。廊下には「空間に関する実証実験」を行なっている旨だけ掲示を出し、廊下を通った後にQRコードからアンケートに回答してもらった。アンケート内容は「照明/音響/においの変化に気付いたか」であり、気付いた被験者にはさらに刺激の強度や快度合いについて回答を求めた。実験の条件は、におい3条件(においなし、仁丹、しそ)×音2条件(音楽なし、音楽あり)であった。
検証結果
音楽があると、音楽がない時に比べて、しそのにおいに気づきにくくなった。
一方で、仁丹のにおいについては、音楽の有無による統計的に有意な差は示されなかった。
すなわち「音によるにおいマスキング」は起こりうるが、においの質によってマスキングの効果が異なる可能性が示唆された。
音楽の有無により、においの強度や快度合いの評価は変化しなかった。
また、仁丹のにおいがあることで音楽に気づきにくくなる、すなわち「においによる音マスキング」という逆の可能性も示唆された。
「音によるにおいマスキング」に関しては、今後実際の喫煙室等を活用した検証を進めて、実装可能性を検討していく予定である。「においによる音マスキング」に関しては、satelliteの個室ブース環境改善(隣室等の音漏れ改善)に活用できる可能性があるため、継続検討を行っていく予定である。
Project Member プロジェクトメンバー
- 日本たばこ産業株式会社営業サポート部 課長田中 洋平
2011年、大手金融機関に入社。コーポレートファイナンス、営業推進、商品企画等に従事。2017年4月、日本たばこ産業株式会社(JT)入社。新規開拓営業、分煙コンサルティング等の業務に従事。現在は「事業を通じた地域課題解決」という新たな領域にトライ中で、様々な自治体と協働プロジェクトを進める。2021年4月よりpoint0参画。2022年6月より株式会社point0の取締役に就任。
- 日本たばこ産業株式会社Tobacco Science Research Center, Researcher林 大輔
2016年3月に博士(心理学)を取得後、東京大学特任研究員、愛知淑徳大学助教を経て、2019年4月に日本たばこ産業株式会社(JT)入社。たばこ事業部の基礎研究所で研究開発に従事。専門はヒトの知覚・認知・感性に関する実験心理学。