Interview with Mr. Osonoi of OKAMURA CORPORATION

    第4回目のpoint 0 committeeインタビューは、WORK MILLの初代編集長としても知られている株式会社オカムラの遅野井さん。オフィスや働き方にご興味を持ったきっかけや、point 0に設置されている家具の話など、色々な質問にお応えいただきました!


    <まずは遅野井さんご自身について教えてください>
    私は大学を出て、キヤノンで社会人としてのキャリアをスタートさせました。
    OEM向けのレーザープリンターの商品化を担当する事業本部に配属され、初めは新製品が出荷されるまでの日程・品質・コストの管理全般を10年近く担当していました。その時に気付いたのが、日本のものづくりの第一線をいくキヤノンでさえも、非効率な業務が多く存在しているということでした。そこで、事業本部内IT部門でITを活用した業務改革を行うようになっていました。
    日本の働き方などに少しずつ関心を持つようになったのはこの時からです。

    この頃、社内で「会議の質を高める」というプロジェクトが立ち上がり、他社の先端オフィスを見にいくという面白い機会をいただいたのですが、そこで訪れたコクヨとマイクロソフトのオフィスを見て、「オフィスのすごさ」、つまりはオフィスを変えることが働き方の改革にも大きく寄与することを強く実感させられました。
     
    その後、働き方改革のコンサタントとしてマイクロソフトで働くことになりました。
    日本で最高の評価を得たオフィスで、世界最高レベルのIT環境と裁量労働制という人事制度のもとで働く機会をいただいたのですが、そこで体感をしたのは、オフィス環境・ITシステム・人事制度を三位一体として業務を改善していくことの重要性でした。次第にオフィス業界で働きたいという気持ちが高まり、オカムラに入社しました。


    <オカムラに入ってからはどのようなことをされてきたのですか?>
    入った当初のオカムラはオフィスに関する深い知見がある一方で、それらを上手く発信できない状態にあったため、情報発信のプロジェクトを立ち上げることが最初に私に課せられたミッションでした。
    そこで立ち上げたのが、「WORK MILL(ワークミル)」というプロジェクトです。プロジェクトの立ち上げ当初は、自社のオフィス内に共創空間を作ってイベントを企画するなどし、最終的には悲願でもあったメディアの立ち上げなども行いました。

    <メディアとしてのWORK MILLについて、ぜひもう少し詳しくお聞かせください>
    WORK MILLはオフィス業界を代表するメディアを創るという思いのもと、2015年にwebメディアとして立ち上がりました。そしてその2年後に念願の紙のメディア(雑誌)が立ち上がり、現在までに5号までが世に出ています。
    雑誌の制作はForbesの編集部と行なっているのですが、オカムラ側も取材の過程から深くコミットをしており、一緒に世界中を取材しに行き、記事を作成しています。
    私はこのWORK MILLの編集長として、業界の壁を超えた様々な人と働き方について話す機会をいただいていました。


    <そんななかで、point 0を立ち上げるにいたった経緯を教えてください>
    WORK MILLの編集長をしながら、実はIoTのプロジェクトを立ち上げたのがきっかけです。
    モノづくり企業とIT企業で働いた経験があった私は、もともと「モノ×IT:IoT」に興味があったわけですが、同時にオフィス業界最大手であるオカムラにとってもオフィスのIoT化は他社に先駆けて取り組んでいかなければいけない課題でもありました。
    例えばオフィス家具は人間工学などを含め緻密に設計をされている一方で、実際に販売をする際の決め手は結局のところ価格である場合が少なくないため、そういった意味でも勝負の軸を変える必要を感じています。

    そこで、これまでのオフィスが抱えていた
    ・我々が売ったあとの家具がどのように使われているのかが分からない
    ・実際にオフィス家具を買ってくださる方々(会社の総務部の方々)が、会議室が普段どのように使われていて、いまのオフィスが最初に家具が配置されたときとどのように変化しているのかが把握できないため、非常に管理しづらい
    という2つの問題をオフィスのIoT化によって解決できると私は考えています。

    その矢先に出たのが、ダイキンが出したCRESNECTのプレスリリースです。オフィス家具だけでオフィスのIoT化が完成するわけではないというのは初めからオカムラ内でも議論されていたため、プレスリリースにあった共創型プラットフォームという考え方に非常に共感をするとともに、かなり驚きました。その後、ダイキンとCRESNECTに関して話し合いをしたときに、お互いが考えていたことがかなり重なる部分も多く、一緒にやりましょうという話になったのです。またコワーキングスペースを創る構想についてもこの話し合いでダイキン工業側から提案があり、オカムラとしても賛同しました。

    <そこから、point 0 marunouchiがオープンするまでのお話を聞かせてください>
    世の中でオープンイノベーションの必要性が謳われるようになってから数年が経つにも関わらず、実際にはただ会社間での話し合いが行われるだけのものや、号令だけのコンソーシアムも少なくなく、「成果」をあげているところはそれほど多くありません。
    だからこそ、私たちがpoint 0を推進するうえで最も大事にしていたことは、とにかく成果を出すことでした。そのためにも、石原さん(point 0 代表取締役)を先頭に、一見無茶にも思える目標を設定し、それらを必死にクリアしていくことで、2019年7月にpoint 0 marunouchiを開業させるという一つの成果を得ることができました。またこれからも、半年ごとの参加型イベントやアニュアルレポートの発行をで成果発表を行う場を設け、成果を出していければと考えています。
    またオカムラとしても家具の提供・調達はもちろんのこと、デザインや施工の部分でも多くのリソースを注力しました。


    <point 0ではどのような家具が使われているのですか>
    最近のコワーキングスペースはデザイン的に洗練されているところも多いのですが、、家具が過度におしゃれで長く座っていると疲れてしまうということも少なくありません。そのため、まずしっかりとした執務チェアを導入することに配慮しました。
    またpoint 0 の個室から共有部まで全体に配置されているグリッド状のフレーム什器は、今回クラインダイサムアーキテクツのデザインを受けてデザインし、我々の標準的な葦津のユニット家具にもフィットするように設計されています。その他のpoint 0 のなかにある家具はほぼオカムラが調達できる家具で構成されています。
     
    <IoTを活用した家具もありますか>
    はい。好ましい座り姿勢を体感できる「Census(センサス)」という椅子を設置しています。
    これは、現在は九州大学で教鞭をとる荒川豊教授と、先生が2016年当時在職していた奈良先端科学技術大学院大学の研究室と共同で行っているプロジェクトで生まれたプロトタイプです。開発当初は床に固定された状態で全く動かすことできなかったのですが、いまでは通常の椅子と同様に動かし、無線で通信も行えるようになっています。これまでは定量的に取得することができなかった座る人の姿勢に関する様々なデータが蓄積されているところです。


    <今後オカムラとしてpoint 0 でしていきたいことはありますか>
    Censusもそうですが、実はpoint 0 にもある上下昇降デスク「Swift(スイフト)」も利用データの収集を目指しており、まずはCensusとSwiftを多くの人に使っていただき、より多くの情報を蓄積できればと思っています。ここで蓄積されたデータがオフィス家具のIoT化を進めるためのとっかかりになるとも考えています。
    point 0 全体でいうと、各社のスペシャリストに講演をしていただくイベントなどが開催できたらいいなとも思いますね。せっかくの共創の場ですので、メンバーの交流が促進されるイベントなどもあったら良いと思います。



    <ちなみに今後point 0の家具が入れ替わる可能性もあるのでしょうか>
    可能性はあると思います。家具が入れ替わったり、いまの家具にセンサーがついたり。
     
    <ありがとうございます。それでは、最後に読んでいる方へのメッセージをお願いします>
    オカムラのDX推進室やダイキンのテクノロジーイノベーションセンター、ライオンのイノベーションラボなど、point 0には各社の新しいことをやろうとするチームが入居しています。なので、色んな会社の新しいことを進めようとしているチームにも来ていただき、point 0という場所を存分に使っていただけたら嬉しいですね。そういったチームが集まり、対話と共創の結果、point 0が新たな価値創出が生まれる場所にできたらと思っています。


    【遅野井 宏】
    株式会社オカムラ マーケティング本部 DX推進室 室長
    1999年、キヤノン株式会社入社。レーザープリンターの事業企画を10年間担当後、事業部IT部門で社内変革を推進。
    2012年日本マイクロソフト株式会社に入社し、働き方改革専任のコンサルタントとして製造業の改革を支援。
    2014年から岡村製作所(現・オカムラ)に入社。
    WORKMILLプロジェクトを立ち上げ、統括リーダーと同メディア創刊にあたり編集長を務める。
    2019年4月より現職に就任